α7Siiiと兄弟機となるソニー製小型シネマカメラ”FX3 ILME-FX3″を入手した
ソニーからが2021年3月12日に新発売になったデジタルミラーレス一眼、プロフェッショナルカムコーダの「Cinema Line FX3 ILME-FX3」を少し前から入手して利用しているので紹介します。
作例などは他で調べれば多く出るかと思うのであまり掲載はしませんが、基本的に当サイトで掲載する写真やビデオはFX3での作例が中心になるかと思います。(サブでα7iiiを利用しています。)
また、当方はカメラやビデオに詳しい者ではなく、学習中の初心者として出来る範囲で利用しており、詳細な紹介やレビュー、分析レビューを期待して当サイトへ訪れた方はご希望に添えないかと思いますので、読み流していただけると幸いです。
購入理由
α7iiiで静止画については大きな不満はなかったものの、動画・ビデオを利用する場合に若干の不満があり、次回検討するならばとα7Siiiが気になっていた状況でした。
α7Siii ILCE-7SM3 + SEL20F18G
α7S III | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー
正直折角動画機を購入するのであれば、α7iiiと被るような用途でこのような金額を今更出したくないなと感じていたところ、一応では明確にモデルが異なる製品のシネマラインとしてFX3の情報がリークされ、その後発表・新発売されたので手を出してみた次第です。
機能について
FX3は“Cinema Line / シネマライン”と言うことも有り、製品の公開前は静止画撮影が利用できないのではないかと言われていたのですが、基本的な機能や性能は全てα7Siii準拠のものとなるため、静止画撮影も利用できてしまう機種になっています。
動画・ビデオを撮影する際に組み立てられるリグや、ジンバルに乗せる際に活用しやすいネジ穴が多く配置され、α7Siiiを動画用途として中心に利用する場合に欠点に感じられる所が解消されているモデルとなっているようでした。
ソニーのカメラでは「ピクチャープロファイル」と言う色調設定機能が搭載されており、映像作りの中で味のある色や階調表現・設定をカメラ側で調整する事が出来る機能となります。
ピクチャープロファイルはFX3に限らずα7iiiなどのα7系のカメラや動画機のFX系であれば全て利用できる機能なものの、FX6などのシネマライン機でのみ搭載されていたシネマティックな色合いで撮影できるピクチャープロファイルの”S-Cinetone”が、基本設計はほぼα7SiiiとなるFX3でも利用できるとの事で発表・公開されていました。(その後α7Siiiでアップデート対応となりました。)
ピクチャープロファイルとは | クリエイターズヘルプガイド
https://helpguide.sony.net/di/pp/v1/ja/contents/TP0000847978.html
シネマライン機は基本的に静止画の撮影が出来ないものの、前述の通りFX3は静止画の撮影が可能です。ピクチャープロファイルは静止画撮影にも適用されるので、需要や利用シチュエーションはともかくとして、”S-Cinetone”の色合いで静止画撮影も可能となっています。
外観・操作系
そもそもが私自身カメラ系ユーチューバーやプロカメラマンと違って、そこまでαシリーズのカメラをフルで活用できていない所ではあるのですが、シネマラインと言う動画撮影重視のモデルの為、操作系が動画関連機能に集約されていることは素人でも分かる配置となっています。
SEL1635Z装着図
SEL1635Z装着図 SEL1635Z装着図
SEL1635Z 装着図 モニター、操作類、電源スイッチ バリアングル液晶 ズームレバー、各種ボタン 上部リグねじ穴 メモリーカードスロット
設定画面についてはα7Siiiと同様でタッチパネル対応の新世代のものとなっており、より直感的な設定変更が可能です。
タリーランプと呼ばれる録画中に点灯するLEDが配置され、録画開始ボタンも押しやすいサイズな上に2箇所に配置されています。電源スイッチもレバー部分ではなく、映像撮影中にミス操作がし難い箇所との触れ込みであるフロント操作パネルの左上の細い箇所に配置されています。
タリーランプ タリーランプ
α7Siiiで電源スイッチとして配置されている箇所にFX3ではズームレバーが搭載されています。ソニー純正の電動ズームレンズであればこちらのレバーで操作が可能ですが、基本的には動画撮影中に光学ズームが行えるレバーになっています。
また、静止画が中心なα7シリーズでは確実にあるEVFが削られており、単体での撮影時は全て液晶パネルで内容を確認することとなります。
充電についても従来機と同じようにType-Cに接続し、9V/3Aに対応したUSB PD(USB Power Delivery)にて本体直挿しで充電も可能です。
端子、ファン吹き出し口
α7系と比べるとシネマライン機の業務用感にソニーっぽいスタイリッシュさが合わさってカッコいい筐体デザインではありますね。撮影機に格好良さって必要なのと言われるとその通りでそちらの意見の方が合ってると思いますが、まあそこは気持ちの問題なので・・・。
製品の付属品
化粧箱はα7シリーズとは異なる簡素なものとなっており、シネマラインのモデルはこのような雰囲気になっていることが多いようですね。
FX3 化粧箱 FX3 化粧箱
FX3 付属品 XLRハンドルユニット装着
内容物
- FX3本体
- XLRハンドルユニット
- バッテリーパック
- バッテリー充電機
- Type-Cケーブル
- 説明書類
内容物はα7Siiiとほぼ変わらないものの、ケーブルプロテクターとストラップが削られている分XLRハンドルユニットが付属しています。ここにマイクが付属していれば個人的には嬉しかったのですが、素人が選びがちなマイクとプロが選ぶマイクは違う所で無駄なバンドルを控えたんでしょうか。
私は取り敢えずソニー純正3.5mm接続のショットガンマイク(ECM-CG60)を入手したのでこれを使ってます。
付属のXLRハンドルユニットが単体販売されているXLRアダプターキット XLR-K3Mと機能や形状がほぼ同じであり、こちらの定価が66,000円なので、FX3定価の504,900円から引くと残額が438,900円ですね。
α7Siiiの価格と比較されがちですが、付属品を除くと実はα7Siiiの実売価格と近いものとなるかと感じますね。
静止画性能
α7Sシリーズで売りとしている内容と変わらず感度性能が高く、常用ISO感度は従来比で低感度側80から102400、静止画有効画素数が1210万画素控えめな機種となります。感度性能が比較的高いので、夜に写真を撮ると月明りで昼のような明るさで写真が撮れるので流石に高感度機だなと思ったことはあります。
以下の写真は透かし挿入以外は全てjpg撮って出しです。
ILME-FX3 SEL85F14GM 1/5 F1.4 ISO12800
シャッター音についてもα7iiiと比べると”カシャ”っと感が少ない音となっていますが、こちらもα7Siiiと同等のようでした。好みにはよるかとは思いますが、静穏性はα7SiiiもといFX3の方が勝ってると感じます。
ILME-FX3 SEL1635Z 1/250 F4.0 ISO1600 ILME-FX3 SEL1635Z 1/250 F4.0 ISO2000 ILME-FX3 SEL1635Z 1/250 F4.0 ISO1600
ILME-FX3 SEL1635Z 1/800 F4.0 ISO80 16mm ILME-FX3 SEL1635Z 1/800 F4.0 ISO80 35mm ILME-FX3 SEL85F14GM 1/250 F1.6 ISO200 ILME-FX3 SEL2860 1/800 F4.0 ISO80
ILME-FX3 SEL85F14GM 1/250 F1.4 ISO6400 ILME-FX3 SEL85F14GM 1/250 F1.4 ISO5000 Lightoom現像 ILME-FX3 SEL85F14GM 1/250 F1.4 ISO1600
ただ、写真機として使う場合はEVFが無い事がネックに感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。私はEVF・ファインダーが付いていても使いにくくあまりアテにならないコンデジに慣れていたのでそこまでの必要性は感じていませんでしたが、α7iiiのEVFを利用するとEVFを必要とする方の意見も納得できる気持ちになりましたので、ここは好みによるとしか言いようがないかもしれません。
動画機が中心であれば外部モニタを装着する事が多いようなのでむしろEVFが邪魔なシチュエーションが多そうですが、写真機としても利用頻度が高ければEVFは欲しい人が多そうです。その場合は迷わずα7Siiiを購入するべきですね。
動画性能
動画性能について勉強中となるので論じれるほど知識は無いのですが、動画撮影機・シネマライン機として一般的にFX3に対して残念に思われていたこととしては電子NDフィルターが内蔵されていないことにより、運用上必要とする場合はレンズに直接取り付け・取り外しとなる事のようでした。これはプロの動画撮影マンからするとこの点は結構論外になるレベルの内容のようですね。
FX3が機能上で動画撮影時にα7Siiiと異なる点としては、本体にファンが内蔵されているため、長時間撮影でも熱処理の効率がいい所でしょうか。ファン動作音は使っている限りでは回っていると感じないレベルで静かに思います。
さらに先述した操作系の中でズームレバーが付いてる事による操作性の向上、RECボタンが各所3つあり、タリーランプ付属で撮影状況も分かりやすいと言う点も挙げられますね。
α7Siiiと同様、チルト式ではなくバリアングル式の本体モニターになっています。自撮りを考えるとバリアングルが良いんでしょうけど、小生はなかなか自撮りはしないのでチルト式の方が好きです。画面サイズはα7系と同じなので、まだアクセサリーが豊富でなかった時はα7Siii用のガラスフィルムを購入して貼り付けていました。
α7iiiと動画撮影の性能を比べた時に4K 120fpsが撮影出来たりと、性能自体は圧倒的に勝っていますが、α7iiiでただの作業風景撮影レベルの利用であれば、そういった利用をされている方の作例を見ると動画撮影の時間制限などを除けば全く不足なく利用されているようには思います。α7SiiiもといFX3は、動画の表現力や質の向上を行いたかったり現在α7iiiに限界を感じているレベルの方であれば活用できそうです。
ソニーで売りのAF性能は動物を撮るときにとても助かります。上記のようなスローモーション撮影でもAF性能を発揮しているように感じますし、あとは自分のカメラアングルなどのビデオ撮影技術を向上させることに集中できますね。
手振れ補正性能もα7Siiiと同じく”アクティブ手振れ補正”機能が搭載されているとの事で、シネマラインとしてはエントリー機になるかとは思いますが、動画機としての扱いは過不足なく出来そうだなと思っています。
DJI Ronin-SC + FX3 + SEL2860 DJI Ronin-SC + FX3 + SEL2860 DJI Ronin-SC + FX3 + SEL2860
手持ちで所持しているジンバルの”DJI Ronin-SC”にマウントしてみた図はこのような感じです。本体の更新が必要でしたが、USB接続・PCモードでα7iiiと同じく撮影ボタンやマニュアルフォーカス操作が利用可能です。
持ち歩き・サポートについて
本体の角ばったデザインに反してグリップは大変持ちやすいと感じています。本体単体の重量は715gと言うほど軽くはないですが、サイズ感は流石にコンパクトです。
基本まともなレンズは大きめで総じて結局重いので本体だけ思い切り軽くてもあまり利点は無いですしね。
TIlta FX3 ケージ
基本動画撮影を行う方はリグと言うフレームを組むらしいので、本体だけでの持ち歩き性能はあまり参考にならないのかもしれません。FX3はリグを組みやすいように各所にリグ用のネジ穴が多数ありますが、α7Siiiだと込み合ったケージが必須のようですね。と言ってもFX3でもケージがあると持ち歩きの際のベルトを装着するなど、色々と操作の幅が広がるようなので、後ほど買おうとは思ってます。
私はアマチュアなので利用をしていないものの、ソニーの製品を業務利用しているうえで会員になると”ソニー・イメージング・プロ・サポート”と言うプロ向けサポートサービスを受けることが可能です。このサービスの会員は登録した機材の修理代金割引や修理期間中の代替機貸出、購入検討機材の試用貸出などのサービスが受けられるサービスですが、”FX3”に関しては会員向けサービス(修理割引、試用貸出機や代替機を借用など)は対象外となっているようです。(クリーニング・メンテナンスサービスは可)α7Siiiは対応しているので、このサポートを本格的に利用している方でFX3を考えている方は一考しておいた方が良いかもしれないですね。
総評
現状だと流石に持ち腐れ感が強い所ではあるのですが、機材ベースで勉強をする派なのでちょいちょい使う中で学んでいこうかと思います。静止画撮影の場合、暗所性能を考えると暗所のシーンではα7SiiiもといFX3の方がα7iiiより良さげな作例が多いようですが、明るい箇所だと大きい差も無いようですので、平行して使って行こうかと悩んでいます。
基本動画機として使いながら、緊急時に静止画撮影も行える機体として扱うとFX3は活用できそうですね。
ILME-FX3 SEL85F14GM 2.5 F1.4 ISO3200 Lightroom現像
FX3 | α Movie Special Contents | α Universe … – ソニーストア
https://www.sony.jp/ichigan/a-universe/movie-specialcontents/FX3/
FX3 | プロフェッショナルカムコーダー | ソニー
大昔から業務やってる古い人間です。
可変電子ND搭載機種はNDが不要時にユニット回避させないといけません。
電子可変NDは完全な透明にする事が出来ませんので、内部に可変NDユニット自体を光軸から回避させています。つまりユニットを回避させる体積空間がカメラ内部に必要になります。したがって小型な一眼ミラーレス系統のDSR機器には内蔵できません。
可変NDユニットの構造、原理を調べればご理解されると思います。
この要望を言う人があまりに多いので、機会があると書き込みしていますが、なかなか浸透しないなぁと思ってます。
また機械式のターレット型のNDも体積空間が必要であり小型を優先すると搭載出来ません。将来的に可変NDが完全な透明に出来るようになった場合でも厳密に言えば不要なガラスを光軸に置く事はマイナスであり、
逃げない可変NDユニットを常時置く事は、画質に対して妥協する行為になります