スバル R2 RC2を記載変更にて軽貨物車登録を行った記録 | アーカイブ
※当記事は過去ブログのアーカイブとなります。
2003年10月から2010年04月まで販売されていたスバルの軽乗用車、R2(型式RC)を今回譲渡するにあたって軽貨物車へ用途・記載変更したので、その忘備録となります。
結論から言いますと、無事に用途・記載変更が完了し、4ナンバーにて登録が完了しております。
※こちらの内容は宮城運輸支局管轄の軽自動車検査協会で完了した内容となり、その他の管轄の軽検協では同一の内容で登録が出来ない場合がありますので、参考とする場合はお気を付け下さい。
車両情報
今回記載変更を行った車両は、以下の通りとなります。
- 初年度登録:2003年12月
- 型式・類別:12024-0501
- モデル:RC2A53F
- エンジン:EN07X
- 駆動:F4WD
- グレード:S
- 車両重量:870kg
- 車両総重量:1090kg
- 定員:4人
貨物登録にするに当たってよく言われている懸念やメリット
まず、貨物へ用途変更する場合のよく言われがちの懸念と、税金でのメリットを確認します。
①車検有効期間が1年になる
→軽貨物車は一律2年です。新車登録時は3年ではなく2年となる違いはあります。
②だいたい乗員が4人の車両は2人になる
→4人乗ることが限りなく少ない車両なので問題ありません。また、貨物の場合、保安上は荷台の荷物を管理する人員の荷台への乗車が1人までであれば乗車可能です。
④貨物自動車へ用途変更した場合の任意保険
→私や今回車両を譲渡する先の人物の年齢が若年であり、尚且つ保険会社を選べば貨物でも年齢条件を付けられますので、デメリットは薄い、またはメリットがあるように感じます。30歳以上となるとまた変わるかもしれません。
②自動車税が安価になる
平成27年3月31日までに初年度登録された自家用車両の税額は以下となります。
- 乗用:7,200円
- 貨物:4,000円
上記に更に初年度登録から13年以上経過した車両は以下となります。
- 乗用:12,900円
- 貨物:6,000円
当R2 RC2は13年経過の軽乗用車となりますので12,900円となり、軽貨物に用途変更すると6,000円となります。重量税に変更はありません。
軽貨物車へ記載変更するに当たって考えた懸念
次に、軽乗用車を軽貨物へ記載変更する場合においての検査規定上の懸念を考えます。
①乗用自動車を貨物自動車へ記載変更を行う場合、プライ(貨物)タイヤを装着したJWL-T規格のホイールが必要なのではないか
→平成26年3月6日付での審査事務規定の改正にて軽合金ディスクホイールの堅ろう性の明確化が行われたことにより、軽規格車の範囲内であれば確実にJWL規格のアルミホイールや一般の乗用タイヤでも問題ない旨の記載が追加されました。
③制動装置性能証明書が必要なのではないか
→平成27年2月5日付の審査事務規定の改正により、軽規格車の範囲内であれば確実に乗用登録時点での制動装置の規定を適用する事ができ、用途変更の際の制動装置の性能証明が不要となりました。
②乗員を4人から2人に変更する為、リアシートを取り外します。その際、コンパネを敷いて荷室を平らにする事、シートが装着されていたボルト穴を溶接する事が求められるのではないか
→荷室や開口部の基準に満たしていれば宮城運輸支局管轄の軽自動車検査協会では特にそう言った処理は必要ないとの事でした。
基準確認
軽乗用車を軽貨物車に用途変更する場合、次の基準を満たしていなければなりません。
(1) 物品積載設備の床面積と乗車設備の床面積
自動車の乗車設備(注3)を最大に利用した場合において、残された物品積載設備の床面積が、この場合の乗車設備の床面積(注4)より大きいこと。
(2) 積載貨物の重量と乗車人員の重量
自動車の乗車設備を最大に利用した場合において、残された物品積載設備に積載し得る貨物の重量(注5)が、この場合の乗車設備に乗車し得る人員の重量より大きいこと。
(3) 物品の積卸口
物品積載設備が屋根及び側壁(簡易な幌によるものであって、その構造上屋根及び側壁と認められないものを除く。)によっておおわれている自動車にあってはその側面又は後面に開口部の縦及び横の有効長さがそれぞれ800mm(軽自動車にあっては、縦600mm横800mm)以上で、かつ、鉛直面(後面の開口部にあっては車両中心線に直角なもの、側面の開口部にあっては車両中心線に平行なものをいう。)への投影面積が0.64㎡(軽自動車にあっては、0.48㎡)以上の大きさの物品積卸口を備えたものであること。ただし、物品積載設備の上方が開放される構造の自動車で、開口部の床面への投影面積が1㎡(軽自動車にあっては、0.6㎡)以上の物品積卸口を備えたものにあっては、この限りでない。
(4) 隔壁、保護仕切等
自動車の乗車設備と物品積載設備との間に適当な隔壁又は保護仕切等を備えたものであること。ただし、最大積載量500Kg以下の自動車で乗車人員が座席の背あてにより積載物品から保護される構造と認められるもの、及び折りたたみ式座席又は脱着式座席(注6)を有する自動車で乗車設備を最大に利用した場合には最大積載量を指定しないものにあってはこの限りでない。
自動車の用途等の区分について(依命通達)| 国土交通省
当車両について
スバルR2 RC2で(1)(2)を満たす為には、後部の乗員スペースを撤去した上で、乗員2人の重量55kg(1人) x2 = 110kgより貨物スペースの重量が大きくなければなりません。
(3)は開口部が縦600mm,横800mmを満たし、鉛直面への投影面積が0.48平方メートルである必要があります。また、(4)は軽規格では適用されません。
当R2 RCではリアシートを取り外した上で、開口部や投影面積は基準を満たしており、車両重量に関しては次の通りとなります。
車両重量は870kg車両総重量は1090kg。型式RC2の車両重量許容限度は1090kg。
2名乗車とするので車両重量許容限度から110kg(55kgx2名)を引くと980kg。車両重量から後席シートやシートベルトを取り外した際の実際の車両重量は860kg。
980kg-860kg=120kgなので(2)を満たした上で、切り捨て最大積載量は100kg
車両総重量は860+110+100=1070kgで基準を満たすと考えられます。
また、今回は構造変更ではなく記載変更となりますので、改造自動車に付与される”改”は付きません。
実務処理
まず、リアシートを取り外します。ボルトは8本ほどで留まっており簡単に取り外すことができます。シートベルトも左右取り外します。また、相談をした際「なるべく軽くして来てほしい」との事でしたので、車載工具やスペアタイヤ、不要部分のマットなども取り外しています。
リアシートやシートベルトを固定していたボルトは元の位置で留め、ストラット部分の内装パネルなどは全て装着したままとしています。
次に、最大積載量が100kgとなる事が解っていますので、最大積載量のステッカーを用意します。最大積載量の記載については車体にマジック書きでも問題はないのですが、みっともないですし汎用もあまり格好良くないので純正品を入手しました。
スズキから製造されている郵政ジムニーに採用されているもので唯一純正品で最大積載量100kgのステッカーを購入できるので、それを購入しています。
部品番号はスズキの”79131-79A20-21G”でした。
記載変更では車検を切らずそのまま変更が可能ですが、今回は一時抹消登録状態から中古新規にて車検を受けます。
ちなみに、純正装着タイヤは155/60R15ですが、今回は155/65R14のスタッドレスタイヤを装着して検査を受けています。
継続検査ではないので通常の継続検査のレーンに加えて、計測レーンへ誘導されます。計測レーンでは今回の貨物への記載変更をする際に基準を満たしているかや、マフラーの音量や地上高などの計測も行われました。
重量測定などが一通り完了し、検査官が最大積載量の計算を終えると最大積載量100kgで確定の旨が伝えられますので、後部の好きな所にステッカーを貼って車検合格です。
実際の車検時は色々と引っかかりましたが今回の記載変更と関係ない部分でしたので割愛します(^^;) 記載変更の内容自体は問題なく1度で通過しました。
今回乗用から貨物となりましたので、車検証上の車体の形状が箱型からバンへ変更となり、ナンバーが4ナンバーとなりました。
登録後の処理
今回の貨物登録に当たって乗員を2人で登録を行っているので、後方に乗員スペースは確保してはいけませんが、純正状態の乗員を4人で登録を行っている場合に、後方シートのヘッドレストやシートベルトを取り外して検査を受けた場合は乗員スペースとして認められず、保安基準不適合(乗員スペースではない)との判断を受けます。それにより、「頭部後傾抑止装置(ヘッドレスト)や座席ベルト(シートベルト)は取り外した上で、後部座席で利用されていたパーツを荷物として車両後方にボルト留めする」事は、審査事務規定上の乗員スペースが存在している状態としては認められませんので、引き続き乗員数2人の状態であると言う事ができます。これを踏まえて、リアシートのパーツを荷物として積載する事に関しては違法性が無く配置することは可能と判断が出来ますので、後方に荷室クッションか防音材置いたつもりでボルト留めしました。(前述の荷物番以外で荷室に乗員を乗せた時点で違法行為となりますので絶対にお止め下さい)
そのようにした方が防音性も良いですし遮熱も幾分かしてくれますし、エアコンの効きも変わってくるので良いと思いますね。ただしあくまで荷物(重要)なのと、理解が無い検査員が誤解をする事がありますので、車検時は外した方が良いでしょう。
まとめ
思っていたより簡単に軽乗用車から軽貨物車に用途変更が出来ました。ただ、分からない所や不安な所はまず軽自動車検査協会の窓口にて相談しましょう。地域差も大きいので・・・。検査官の方々は繁忙期でなければ親身に対応してくれるはずです。
完成車として貨物車を買うと乗用車と比べた場合色々な部分は削られ、貨物車として完全に問題なく検査基準が通過するように作成されている物が殆どで、乗用車を貨物車とした方が貨物車として利用する場合でも運転に関しては快適な場合がありますので、検討の余地はあるかと感じます。何かの参考になれば幸いです。
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