E-Inkディスプレイ搭載 「Lenovo YOGA BOOK C930 LTE」を入手、前モデルとの比較 | アーカイブ
※当記事は過去ブログのアーカイブとなります。
Lenovoから販売されている2in1 モバイルPCのYOGA BOOK C930を入手したので、前回のモデルを利用した時の内容を思い出しながらの比較を掲載します。
今回のモデルは前回のモデルよりも確実に完成度が高い製品となっていましたが、用途に明確なビジョンが無ければ持て余してしまう内容は変わりませんね(泣)
YOGA BOOKシリーズについて
”YOGA BOOK”はキーボード側がタッチ式でワコムの筆圧感知ペンも利用が可能な2in1型ノートPCのシリーズで、更に画面とキーボード側を反対に折り返す事が出来るLenovoのYOGAシリーズでもある1台となります。
YOGA BOOK 1世代目のおもひで
1世代目のYOGA BOOKは2016年に発売され、OSにAndroidとWindowsから選ぶことが可能でしたが、本体上での切り替えの様な事は出来ず、OSを購入時点で選ぶ必要が有りました。
私はAndroidを利用した製品は製品としての寿命が短くなってしまうと考えているのと、そもそもデスクトップ環境が動作する事を求めていたのでWindows搭載機を選択しました。
製品スペックは当時でもお世辞にも良い物とは言えず、プロセッサにAtom™ x5-Z8550を搭載、RAMは4GBで、恐らくAndroid OSであれば動作は良い物であったと考えられますが、Windows OSだとワンテンポ遅い動きが気になってましたね。
また、microUSBのUSBポートが1つしか無く、その端子で充電も実施する為何かを接続しながら充電を行うことが困難と言う事もネックでした。
Haloキーボード
HaloキーボードとはYOGA BOOKでのみ利用が出来る物理キーのない特徴的なスクリーン型キーボードの事を指します。
Lenovoの資料を確認すると、キーピッチ同時期に販売されていたThinkPad 10のキーボードと同じキー数とし、ソフトウェアでタイピングミスを極力無くすようなチューニングをし、画面上でポップアップするキーボード以上に扱い易いキーボードを目指して開発されたことが解ります。
此方から解説内容は参照ください。[PDF]
ただ評判としてはキーボードが物理キーと比べて激しく打ちづらく、物理キーボードを別で持ち歩くなど軽い筐体に本末転倒な利用をされている方も多かったようです(笑)。私自体はあまりキーボード配列や位置に拘りはなく、JIS,USなど関係なく手元に来た製品に合わせる形で利用しているつもりですが、利用していた時はタイプミスの発生率が高くワープロ用途ではしんどいなーと思っていました。
右上の「ペン」ボタンをタッチするとキーボードがOFFとなり、筆圧検知(2048段階)が有効なペンタブレットモードとなります。ワコムのペンが利用できるので、私はGalaxy Note8のスタイラスペンを利用していました。ただ画面側は反応せず、直接的なタッチペンとしては利用できませんでした。正直そもそもPCでペンを利用することが少ないので稼働率は0に近かったです。
LTE対応
私が買ったモデルはWWAN対応モデルで、SIMカードを挿入出来ました。スマートフォンと同じようにSIMトレイ式となり、SDカードスロットと一緒に抜き差しが可能です。
インテルのモデム(XMM7260)を搭載しており、動作に関してはあまりいい評判は無い模様です。私は正直LTEは使っていなかったので記憶にないです。
総評としては?
軽くて薄い2in1 PCとしては唯一無二のいい製品でしたが、Atomプロセッサによる芳しくない動作やUSBポートの問題などが私は惜しいと感じた製品でした。ただ軽いので持ち歩きはしやすい上にフルWindowsが動作し、ペンタブ用途でも利用できる先進的なガジェットとしてのワクワク感は満たされました(笑)痒い所に手が届いてない事が多かったですね。
YOGA BOOK 2世代目
そんなYOGA BOOKが進化した2世代目となる「YOGA BOOK C930」が2018年に発表されました。
1世代目と比べて色々な部分が進化しており、在庫の供給不足が発生し発売日が延期となるほどの話題を集めました。どのような点が変わったのか見ていきましょう。
大きく変更があった箇所
大きく変更が有った箇所は以下の通りです。
製品 | YOGA BOOK1世代目 | YOGA BOOK C930 | |
---|---|---|---|
CPU | Atom™ x5-Z8550 | Core™ m3-7Y30 | Core™ i5-7Y54 |
本体ストレージ | 64GB | 128GB | 256GB |
メモリ | 4GB | ||
ディスプレイ | 10.1inch wide 1920×1200 | 10.8inch 2560×1600 | |
USBポート | microUSB x1 | Type-C x2 | |
オーディオジャック | あり | なし | |
GPS | あり | なし | |
重量 | 690g | 775g | |
ペン | 筆圧2048段階(キーボード側のみ) | 筆圧4096段階(上下可) | |
定価(LTE無) | 66,744円(ZA150081JP) | 150,984円(ZA3S0144JP) | 172,584円(ZA3S0141JP) |
プロセッサにAtomシリーズの1つしか選べなかったラインナップがKaby Lake世代Coreシリーズ超低電圧版の2種類から選択することが可能となり、パフォーマンス向上が図られています。
本体ストレージの変更は有ったもののメモリは4GB据置で、若干残念に感じます。恐らく本体価格が更に上がってしまう事を危惧したのでしょうか。
ディスプレイは大きさ筐体の大きさをほぼそのままに0.7inch大画面化しており、解像度も向上しています。初代では気になるほどベゼルが厚く、額縁感が凄かったので個人的には許容できるレベルまでには改善されました。
また、何と言ってもUSBポートのType-C化と2ポート装備により、初代より接続性が大幅に向上した所が嬉しい点で、Power DeliveryなどのType-Cを利用した最新の充電規格に対応した点もGoodですね。
指紋認証にも対応し、閉じた状態で天板をノックすると開くようなギミックも追加されています。
YOGA BOOK C930 ノックオープン #Lenovo pic.twitter.com/jJC1gkDFef
— htcsoku Blog (@HTCsoku_dev) 2019年4月30日
開封
開封した時点でこの表示でした。最初はフィルムかと思いましたが、電源を入れると消去(シャットダウン時の背景)されたので驚きました。
ACアダプターはC to Cのケーブル利用の物で27Wです。Power Delivery対応と記載が有ります。
初代と同じくSDカードとSIMカードが一緒に挿入されるトレイ式です。こちらもインテルのモデム(XMM7360-P)です。
Haloキーボードから改良、E-Inkディスプレイの搭載
Haloキーボードと呼ばれていたキーボードは廃止され、キーボード側は電子ペーパーとなるE-Inkディスプレイを搭載します。E-Inkディスプレイ側ではキーボードとPDFリーダー、筆圧感知に対応するペンに対応したメモ帳機能が利用できます。残念ではありますがバックライトは非搭載です。
E-Inkディスプレイを利用したキーボードは、JISキーやUSキーの配列変更は自由自在で、ポインタを操作するタッチパッドを常に表示するかしないかの設定に関しても選択ができます。Bluetoothマウスなどを利用する場合はタッチパッドを常に表示しない設定とするとキーピッチが縦に大きくなるのでタイプミスも少なくなりますね(笑)。画面はタッチ操作が可能ですし、タッチパッドは完全に表示をしない設定が有っても良いかなと感じます。
YOGA BOOK C930のe-ink動作感 #Lenovo pic.twitter.com/UWC9vGqWDE
— htcsoku Blog (@HTCsoku_dev) 2019年4月30日
キーボードの打ち心地に関しては、私が日常利用しているThinkPadと同等だったり近くなっているかと言われると全くそんなことは無いですが、初代のYOGA BOOKよりは格段にタイプミスは少なくなっているように感じます。前回は緊急用として割り切る場合でも厳しいかなと思ってましたが、今回は緊急用であれば許容できるかなと言った程度ですね。
私が購入したモデルは純正ペンが付属していなかったのでThinkPad X1 Yoga用のペンで書き心地を試してみました。E-Inkディスプレイ側が紙のような触り心地のアンチグレアの処理が施されている事も有って、違和感は少なく文字を書けました。ただ私はペンをあまり利用しないので何とも何に使えばいいか解らない機能では有りますが・・・。そうそう、前モデルと違って画面側も筆圧感知に対応したペン操作が可能な点は良いですね。
パフォーマンス
CPUは”Core i5-7Y54″と”Core m3-7Y30″で選択が出来ますが、双方低電圧版と言う事も有ってかあまり大きな性能の差は無いようです。ただ内蔵ストレージが256GBで有る必要があればCore i5-7Y54版を選択する必要が有ります。
どちらにしてもメモリが4GBなので、沢山のブラウザタブやソフトウェアを動作させた作業はあまり期待出来ない事が予想されますが、当方のモデル(Core m3)でWebブラウジングやPhotoshop編集、ドローンの4K映像の再生などを試すと初代では厳しいと感じていた内容は一通りストレスなく動作します。
Mavic Proの4K動画をYOGA BOOK C930で再生 #Lenovo pic.twitter.com/7ZIhPsycgD
— htcsoku Blog (@HTCsoku_dev) 2019年4月30日
バッテリーライフは公称11時間と記載が有りますが、しっかり利用すると5時間ほどですね。LTE利用はしておらず、Wi-Fi利用です。
持ち運びやコンパクト性を中心とした利用として考えた場合は十分すぎる動作をしてくれますので、初代と比べると完成に限りなく近くなった印象を受けました。
総評は?
初代で利用した際に感じた「痒い所に手が届いておらず、尚且つ初代の発売から時間とともに感じる色々な最新のアレコレに対応してほしい」と言った内容に全て対応してくれたおかげで、Windows 10を搭載した究極のモバイルPCであることは間違いないですが、キーボードを多用するような利用するのであれば結局は最善では無いと思います・・・。中々厳しいですね。
ただ初代と比べると格段と”使えるデバイス”に進化したと感じました。この製品をWindows 10を搭載した持ち運びを中心としたモバイルデバイスとして1台に絞るのであれば、とてもいい仕事をしてくれそうです。
また、この製品にはレノボが提供するグレードアップ保障のアクシデントダメージプロテクションが初期付与されています。(一部モデルを除く)この保障サービスは通常の基本保証に加え、水濡れ破損や画面破損の修理を無償、更には紛失や火災による炎上などを一部費用負担で代替機が取得できるような内容が受けられる突然のトラブルを広くカバーした保障サービスです。これはThinkPad等では有償にて付与する内容ですが、YOGA BOOK C930では1年間無償付与されていますので、iPadやSurfaceなど、その他の競合製品と比較する際に参考にすると良いかと感じます。
ただ、ここまで考えても製品価格が高いと感じますね。レノボのオンラインストアではクーポンが常時提供されていますので、上記の価格よりは幾分か安価にはなるかと感じますがそれでも10万越えは必至でしょう。うーん、やはりガジェット好き向けのデバイスでしょうかね。詳細は以下からどうぞ。
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