ヤマハ”YZF-R6 2017 BN6”でコミュニケーションコントロールユニット(CCU)をGPSロガーとして一般道で活用してみた | アーカイブ
※当記事は過去ブログのアーカイブとなります。
前回”YZF-R6 2017 BN6”でコミュニケーションコントロールユニット(以下CCU)を装着して利用していますと言う内容の記事を投稿しましたが、現在でも売却せずに利用しています。
ヤマハ (プレスト) YZF-R6 2017 BN6にコミュニケーションコントロールユニット(CCU)装着、その他についてなど
現状は公道メインの利用なので、CCUをフル活用とまでは行っていないのですが走行したログファイルを閲覧するのは楽しいですし、サーキットに行った際に活用できる準備が出来ていると言うだけで楽しいです。(意味不明)
一般道でオートバイを運転している中で旅の記録としてGPSロガーが有れば嬉しいなと思う限りではあるのですが、スマホで自動的に記録されている”Google Mapのタイムライン機能”だとスマホのGPSのそもそもの性能や電波状況的にもブレブレな事が有りますし、かと言って別でGPSロガーを持つのも億劫なので、CCUで折角精度が高いGPS情報をロギングしているのであれば、データを取り出してGPSロガーとして活用出来たら嬉しいなと思っておりました。
CCUでロギングされている内容
まずCCUでどのような事がどのようにロギングされているのかを確認します。
CCUでは車体の診断ポートから車体の動作情報を読み込み、GPSアンテナで取得した位置情報を組み合わせて1つのファイルに以下の様な内容をロギングしています。
車種 | YZF-R1 | YZF-R6 |
---|---|---|
GPS(位置情報) | 〇 | 〇 |
エンジン回転数 | 〇 | 〇 |
スロットルグリップの開度 | 〇 | 〇 |
スロットル開度 | 〇 | 〇 |
後輪速度 | 〇 | 〇 |
前輪速度 | 〇 | 〇 |
ギア数 | 〇 | 〇 |
傾斜角度 | 〇 | × |
ピッチ | 〇 | × |
フロントブレーキ圧力 | 〇 | 〇 |
リアブレーキ圧力 | 〇 | × |
水温 | 〇 | 〇 |
気温 | 〇 | 〇 |
燃料使用量 | 〇 | 〇 |
加速度 – X軸 | 〇 | × |
加速度 – Y軸 | 〇 | × |
トラクションコントロール作動タイミング | 〇 | 〇 |
スライドコントロール作動タイミング | 〇 | × |
リフトコントロール動作タイミング | 〇 | × |
ローンチコントロール動作タイミング | 〇 | × |
フロントABS動作タイミング | 〇 | 〇 |
リアABS動作タイミング | 〇 | × |
上記の内容はCCUが標準装着されているYZF-R1Mの取扱説明書から確認した内容をベースに、自分がYZF-R6で利用して値が取れた部分を記載しています。
CCU自体R1で利用する為に作られたようなものですから、YZF-R1で利用する場合が6軸センサーが有る分一番ログが取れますね。
疑問なのがリアブレーキ関連の内容がR6では取れていない事ですね。何故でしょうかね。
前回の記事でも記載しましたが、CCUのログファイルのダウンロードや展開・閲覧をするアプリ、”Y-TRAC”では以下のようにそのログファイルの表示が出来ます。
現在位置のGPSのログを踏まえたうえで、その時の各種値が記録されてグラフ化されています。自分の走りを特殊な社外品など無く純正品で確認できるのは嬉しい限りですね。
ログデータの記録はイグニッションをONにした時点からCCUユニットの立ち上げを開始し、GPS即位後ログデータの作成を開始。イグニッションOFFでログデータの蓄積を終了、上記のすべての内容を1ファイルとして記録しているようです。
車体のCCUユニットと携帯端末の接続はWi-Fiで行い、Y-TRACアプリ経由で車体のCCUユニット内の蓄積したファイル一覧の閲覧が出来るようになっています。
ダウンロードしたデータをメールで送信することが出来るので、データのシェアリングも可能です。
GPSデータを抜きたい
今回はCCUをGPSロガーとして利用したいので、車体からダウンロードしたファイルからまずGPSデータが抜けないかを試しました。
CCUからダウンロードしたファイルをY-TRACでシェアリングし、抽出したログファイルをバイナリエディタで展開すると謎の圧縮形式で圧縮されており、GPSデータが読み取れない事が解りました。
どう探ってもGPSデータは確認できなかったので色々探っていると、Y-TRACのアプリファイルに入っているプリインのテストログデータを発見します。(Y-TRACアプリを立ち上げると初期ファイルとして配置されているもの)
このファイルをバイナリエディタにて展開するとGPSデータらしき物を確認する事が出来ました。ただこのファイルをY-TRACで表示した後にシェアリングすると謎の圧縮形式で圧縮されたファイルとなっています。それにより、恐らくY-TRAC上でファイルの圧縮(端末上でのデータ容量節約の為?)を行っていると言う事が解りました。
アプリファイル自体から取り出したプリインのログファイルの先頭を一部削り、GPSデータとしてPCソフトウェアなどが読み込める状態としたところ無事各種ソフトウェアで読み込むことが出来るようになったので、このプリインデータがY-TRACがCCUからダウンロードしている生データと同等のものなのではないかと考えます。
CCUデータのRelive出力 pic.twitter.com/EzcEw5mvgK
— HTC速報ブログ (@HTCsoku_dev) 2018年11月30日
上記はそのプリインデータのGPS情報を変換し、各種アプリに出力してみた図です。良い感じに出来ていますね。
ただY-TRACアプリでダウンロードした生データはどうしても取り出せません。何かいい案はないかと考え、試しにPCとCCUの接続を行うと問題なくローカルネットワークとして接続が出来たので、Android端末でY-TRACアプリでファイルをダウンロードしている際の接続先をadbログから確認してみました。
http://192.168.0.1:8080/logs/YAMAHA/
するとダウンロード時に上記のアドレスへアクセスしている内容が記載されていたので、PCとCCUを接続した上でWebブラウザからこのアドレスにアクセスすると、CCUの一部の中身を閲覧することが出来ました。
内容を見ていくと拡張子”TRG”と言うログファイルらしき物が確認できたので、ダウンロードし同じようにバイナリエディタで展開するとY-TRACアプリ内のプリインアプリデータと同等の内容でGPSデータの取得も出来ました。
CCUのGPSデータを活用して旅の記録を出力
自動化が出来れば良いのですが、私はこのようにGPSデータを出力しています。
1、車体のイグニッションをONにし、CCUを起動する。
2、CCUが飛ばすWi-FiにPCから接続をする。
3、”http://192.168.0.1:8080/logs/YAMAHA/”へアクセスし、欲しいファイルをダウンロードする。
日時通りの記載になっていますので分かりやすいです。
これが2018年11月29日に記録したログ一覧となります。
4、ダウンロードしたファイルを全てバイナリエディタで展開し、以下のようにGPSのデータの前から全部カットして保存。
5、”GPSVizualizer”のサイトから希望のGPSデータに変換を行う
私は扱い易い”GPX”ファイルに変換しました。
このサイトではGPSファイルの内容をマップに乗せて掲示もしてくれますので、ファイルの中身の確認にも活用できます。
6、GPSファイルが複数ある場合は出力されたファイル先で結合作業を行って1つのGPSファイルにする。
単なるテキストファイルなので手動でも結合は出来ますが、私は”轍”と言うソフトにてGPXファイルの結合を行いました。
出来上がったGPSファイルを各所にアップロードすれば旅の記録を公開することが出来ます。
例としてStravaと言うサイト経由にてReliveと言うサイトに記録をアップロードしてみました。
CCU GPSデータRelive出力 pic.twitter.com/f1rk0Dng4q
— HTC速報ブログ (@HTCsoku_dev) 2018年12月1日
しっかりGPSロガーとして活用できている事が解りますね。
今回の内容で
今回のGPSデータの抽出が可能になったので、CCUが運転やサーキット走行を楽しんで記録を特定のアプリで展開するためだけの装置ではなく、汎用GPSロガーの機能を装備したとして扱う事が出来ますね。
一般道での走行が中心だとデータの扱いがし易いGPSロガーが有ると無いとではだいぶ違いますし、純正でそのような機能を乗せておいてほしいと感じる次第です。
今後GPSロガーとしてもCCUを活用したいと思います。
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